扇塚建立縁起について
日本舞踊家にとって『扇』は切っても切れない関係があり、非常に大事な物であることは申すまでもありません。
日頃のお稽古や舞台で扇を使っていると、自然に傷んで使えなくなってしまいます。このような扇を供養するために、先代芳瞠師は、扇のための塚を建てようと、多方面の方々に声をかけ、1965年(昭和40年)5月18日京都東山・御寺泉涌寺の別院「雲龍院」に建立。その後「雲龍院」が泉涌寺と同じく宮内省の菅轄となるため、1985年5月18日(昭和60年)に西宮甲山大師「神呪寺」に移動。
当時の「神呪寺」幸田光玄御住職様は『扇は人間の進むべき道に教訓を与えているものだから、喜んでお受けしましょう』と「扇塚供養表白」を承り、扇塚の前で使い古した扇を燃やし、その灰を灰塚に納め入れ供養致しております。
「扇供養」は、先代芳瞠師の誕生日に行なっておりましたが、その日が「神呪寺」の大祭とあたり、現在はその前日である5月17日に、毎年流儀を問わず日本舞踊を習っている方々や、一般の方にも参加して頂きながら賑々しく行なっております。